納豆の気持ち
僕はたまに納豆を食べる。
パックを開け、薄いフィルムを取り、付属している醤油をかけ、箸で混ぜる。
たまに混ぜてる最中に、一粒だけ端っこにこびり付いて上手く混ざりに混ざってないことがある。
この一粒の納豆の気持ち、考えたことがあるだろうか。
今日は待ちに待ったパーティの日。いつもより少し派手なファッションで自分を着飾り。上手くいくことだけを考えて何度も何度も脳内シュミレーション。脳内シュミレーションの中の自分はいつでもその場のヒーロー。でもいざパーティ会場に行くと、そこはもう戦場。上手く馴染めない自分と戦いながら、答えのない自問自答が始まる。おそらく一粒の納豆も、こんな苦しい気持ちを抱いているのかも知れない。
僕はそっと手を差し伸べるように、こびり付いた一粒の納豆を箸で摘み、一緒に混ぜてあげた。
納豆を混ぜる。そう、一心不乱に。
納豆を混ぜる。そう、常識に囚われないように。
納豆を混ぜる。そう、誰にも邪魔されないように。